ご当地Tシャツの可能性について


自称、ご当地Tシャツプロデューサーの澤田です
おそらく日本で自分だけかと思います(笑)

弊社のWild West Tokyo(西多摩ご当地Tシャツ)をやり続けて思うのは、ご当地Tシャツという存在は、その地域の再生や活性化に非常に有効なツールであるという事です
・衣食住の衣である事(毎日のように着れる)
・プリントがされているので、対外アピール力がある(着ている人、全員がCM)
・みんなで着るので、一体感が生まれる
・地域の誇りや自慢、特徴がプリントされているので、着る事でモチベーションが上がる(働き方改革じゃなくて、地方での暮らし方改革)
Wild West Tokyo商品は毎年春と秋に新商品を数点ずつリリースしますので、強者は毎日何かしら弊社商品を着て歩いてくれています(笑)
その人達が醸し出す一体感、PR力って本当に半端ないんです
みんなが地元愛を表現し、PRし、そして一緒にやってこうという気にさせる
それがご当地Tシャツの一番良い所です

ただ、残念ながら、地方の様々なご当地Tシャツを日々拝見しますが、負けたと思う商品に出会う事は少ないですねー
よくあるパターンとしては

  1. 町の重鎮達が会議でデザインとか方向性を決めちゃって、〇〇町とかデカくプリントしちゃうパターン
    経験上、デザインは最少人数で決めるのが一番いいです。かなり尖ったアイデアとかあっても、色々な人の意見で丸められちゃって、最終的に誰もが納得のデザインというのは「〇〇な街、〇〇町」みたいな、だれも買わないつまらないデザインに落ち着く事が多いです
  2. その地域で普段は紙のデザインをやってて、イラレが使えるから頼まれてデザインしちゃうパターン
    紙媒体のデザインとシルクスクリーンのデザインは、同じデザインですが全く別物というパターンが多いです。なので、プリントの大きさが違ったり、プリントする位置が違ったり、効果的にデザインをアピールしたいんだけど、企画倒れだったりするデザインが多いです
  3. ちょっとイラレが使えて、ファッションが好きな人がデザインしちゃうパターン
    基本的に自分の好みを押し付けるマスターベーションのパターンが多いです。デザイナーはアーティストでもありますから、自分の好みを主張するのは悪くないのですが、それをお金出して買う人がいる事を忘れてはいけません。その地域で買う人が何歳くらいの人が多いのか、男女比はどうなのか、誰に着てもらいたいのか、最終的な目的は何なのか等を把握したうえで、自分なりの趣味を出していくというセオリーが正しいのですが、それから外れるデザインが多いです
  4. 大手広告代理店が優秀なデザイナーを使って、地方のニーズを無視して作っちゃうパターン
    大手企業が主導のご当地Tシャツに多いのですが、大手代理店が優秀なデザイナーに丸投げして、その地方のニーズを無視してデザインを押し付けちゃうというのもよく見るパターンです
    大抵は、誰がこれを買うんだ?という商品ですね
    ご当地Tシャツが成功しない、そして文化になっていないのは、この手の大手企業のせいでもあります

なんて偉そうに書いてますが、ご当地Tシャツの可能性の高さを知っているからこそ悔しいんですよね
悔しくて、ついつい怒り口調で書いてしまうというのが理由としてあります

ご当地Tシャツを制作するうえで大切な事は

  • 他所には無い、その地域の誇り・特性をプリントする(自虐的なネタでもOK)
  • その地域の人が買ってくれるデザインにする(ご当地Tシャツはお土産のためにあるのではなく、その地域に住む人のためにあります)
  • 買ってくれた人が実際に着てくれるデザインにする(買っただけじゃダメ。実際に着て歩けるデザインに落とし込む)
  • 買って、そして着て、数か月後に「これって買ってよかったな。新しいの出ないかな」と思わせる

なのです
ここを外してはいけません

ひとつのコンセプト、デザインを決めるのにどれだけの苦労があるかは意外と知られていません(笑)
ただ、ご当地Tシャツは簡単に作れないから、色々な駄作がたくさん世の中に出回ってしまっているのかなというのは理解して頂けるかと思います